てぃーだブログ › あんたの歌を 聞かせてくれ

もののけ姫:米良美一

2013年10月29日

98.「もののけ姫」:米良美一


そのきっさきによく似た
そなたの横顔







サンに一目惚れしたアシタカは凄い奴だと思ふ。






作詞:宮崎駿
作曲:久石譲
唄 :米良美一



自然を守る戦いと
自然を破壊しなければ生きていけない戦いの矛盾を
止揚できる途は無いかと探し、
問いかけるだけで終わらず
行動に出たからアシタカの呪いはようやく解けた。

エボシとサンからも「夜叉」の影が消えた。

「ひとりでも私は 生きられるけど
 でもだれかとならば 人生ははるかに違う」

と歌ったのは中島みゆきさん。(『誕生』)
そういう喜びが生き残った人々の身に訪れたのだけれど、
しかしその先の「社会」には再び必ず矛盾が生じていく。


先は見えないが、
寿命が尽きるまで前に進むしかない。






  


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酒場にて:江利チエミ

2013年10月26日

97.「酒場にて」:江利チエミ


あのドアを開けてみたってあなたはいない



     ゆんフリー画像より借用



百曲を選んでいるこの作業を通じ、
採用するかどうか
ずっと迷っていた曲がこの「酒場にて」。
とうとうそのまま97番目まで来てしまいました。
決断します。

何を迷っていたのか?
それは、自分の歌を聴く耳への疑いです。

江利チエミさんの洋楽的歌唱力は、誰もが納得されるでしう。
「ウスクダラ」や「チャチャチャはすばらしい」の軽妙で艶のある魅力。
古い日本の歌を唄うチエミさんもいなせで大好きです。
たとえば「木遣りくずし」や「さのさ」。

でもすべておきゃんで影や闇が見当たらず、
つまりは私のこころにひっかかるトゲが無く、
おまけにどこか気取って感じられるから、
私の人生に組み込まれないのです。
(もちろん、洋楽のカバーも純民謡も、
この100曲選びのルールには反するのですが)


死ぬことも出来ず今でも
あなたを想い
今日もひとり酒場で 泣いてる私



でも1974年のこの曲、「酒場にて」だけは、
静かに私の中に沈殿していきました。
CDを聴かなくても、
体内から蘇る曲になったのです。
かすかなイガイガした気分を残しながら。

なぜイガイガするのか、
私自身この曲が好きになった理由が、
江利チエミさんの歌唱に惚れ込んだのか、
彼女とTさんとの「悲恋」のエピソードが心を震わすのか、
判断がつかなくなった迷路に立っているからです。

その歌手がどんな人生を歩んだどんな人格の人であっても、
その歌手のその歌が或る魅力的な世界を目前に示し
感動をもたらせてくれるなら、
それがホンモノの歌だと思っていたから、
メディアを通じて知った彼女の人生の悲劇が、
この曲に余計な付加価値を与えているのではないかと、
自分の耳への疑いが消えないからです。

でも、もういいです。
この曲を聴くことで現に伝わる感情を大切にすることにします。
97番目は江利チエミさんの「酒場にて」。





失礼ながら、
どうにもお洒落とはいえない編曲、
イマイチやる気の感じられない伴奏、
歌謡曲に慣れないチエミさんの少したどたどしい歌唱。

それでもこの曲が有線で爆発的に流れたのは、
何も歌の舞台が酒場であったからだけではないでしょう。
それを説得力と呼びましょうか。



テレサ・テンさんのカバーと比べてくださいますか。
歌謡曲の達人テレサのほうが、見事に流麗にしかも哀愁を帯びて歌っておられます。
しかし、テレサがオリジナルだとすればこの曲はここまで私の中に沈殿しなかったでしょう。




「酒場にて」
作詞:山上路夫
作曲:鈴木邦彦
唄 :江利チエミ


また長い夜をどうして すごしましょう
愛の香りも 消えたあの部屋




  


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ワインレッドの心:安全地帯/玉置浩二

2013年09月29日

96.「ワインレッドの心」:安全地帯/玉置浩二


あなたはただ恥じらうより てだてがなくて



    神戸「アッシュ」にて


この秀歌をどう歌えば良いか。
「恥じらうより てだてが」ない女性に対し歌い手はどういうスタンスで何を求めるのか。
歌い手の年齢は何歳年上なのか、あるいは年下なのか。
そういう解釈一つで表現は大きく変わる歌を。

初めて聞いた時、安全地帯の歌い方は情緒が一本調子でいま一歩もの足りず、
私だって同じように歌えるかも、などと(不遜にも)感じてしまった。(苦笑)
ところが井上陽水さんの歌を「9.5カラット」で聞いて想像力が広がり、
鵺(ヌエ)のように食えない=いかようにも料理できる歌だとわかった。
私は酒で恥意識を消さない限り歌えなくなった。
そしてその後の玉置浩二さんの歌唱も試行錯誤しながらずいぶんと変化し、または深化されたと思う。
機会あるごとに楽しみが募る。

それはやはり名曲の証拠では?



安全地帯で


安全地帯ライブ映像で


玉置浩二さんのライブで


井上陽水さんで



作詞:井上陽水
作曲:玉置浩二
唄 :安全地帯


  


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阿母:朝崎郁恵

2013年09月22日

95.阿母(あんま):朝崎郁恵


This is our song,Human!








夢はいつまでも歌に宿りゅん






作詞:UA
作曲:吉俣良
唄 :朝崎郁恵


夏はかけ足で 無常に過ぎてゆく
時はつかまらず ここまで流れつき

雪の降る日も 道無き夜も
この手を放さずにあなたは微笑んだ

出逢う喜びと 叶わぬ悲しみと
夢はいつまでも歌に宿りゅん

蕾をつけた樹樹のなかには
幾千もの夏が秘められている

種が育つために 流れる涙
あの海にかえるまで 枯れることはなく

時計草の花が 静かに開きだす

でぃごにもたれて
あなたとうたたね









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涙の連絡船:都はるみ

2013年09月19日


      yunフリー画像さんから借用し、彩度等加工



94.涙の連絡船:都はるみ


今夜も 汽笛が 汽笛が 汽笛が
暗い波間で 泣きじゃくる



私は、歌謡曲では、特にいわゆるエンカなら、場末感を表現できる歌手が好きです。
「場末」とは失礼な言葉かもしれませんが、私にとっては生活や世の中の陰影のこと。
都会であれ地方の港町であれ、そのど真ん中の繁華街ではなく、少し外れたところの薄暗さと貧しさ。
それゆえに悲哀や不幸せもプンと匂うけれど、
しかし豊かで暖かい心が棲む場所のことです。
そこは歌謡曲の生まれ育つ故郷ですから。

都はるみさんが登場されたとき、
若い私は上のような表現を持ち合わせていませんでしたが、
しかし結局その場末感のある歌手だろうと期待をしたのでした。
今思うと。

ファンだった7〜8年の間、私にとって彼女の最高の曲はこの『涙の連絡船』でした。
初めは少女の心で、次第にオトナの心情で待ち続ける女を歌い上げる彼女の歌唱は、
いつも確実に私の耳を傾けさせる力を持っていました。
けれど、
いつまでたっても、はるみさんは私の望むその場末感を身にまとうことはなく、
それは『北の宿から』で決定的になり、
私はファンではなくなりました。
彼女はきっと明るいおきゃんなお嬢様であり続けたのです。
酒場の女にはなれません。

これは決して非難ではありません。
ただ、彼女の個性によく合った曲に恵まれなかったな、
と思うのです。

しかしこの塩の香漂う名唱を、百曲に入れないわけにはいきません。
いつも私を楽しませてくれたはるみさんに敬意を込めて。











作詞:関沢新一
作曲:市川昭介
唄 :都はるみ


きっとくるよの 気休めは
旅のお方の 口ぐせか



  


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ともだちの詩:中村中

2013年09月11日

93.ともだちの詩:中村中







いつだったか、娘たちと久しぶりに会ったとき、二人はこの歌を教えてくれました。

「とーちゃんこの歌はな、
性同一障害の男子高校生が、好きな男子に思いを打ち明ければうとましがられるので、
せめて手だけでもつなぎたい、並んで歩きたい、
と願うんやけど、
やっぱりそれも無理やから、
『ともだち』でいるしかない~っていう歌やねん。」

といった感じで説明しながら目を潤ませるから、
とーちゃんも歌を聴く前からウルッときてしまい、
曲を聴きながらもう号泣を抑えるのに必死になっていました。

同時に、この中村中さんというシンガーは、
二曲目からは苦労するだろうなと感じていました。

それからまもなくこの曲はブレイクし、
TVでも何度か見かけました。

日本の歌謡史に残る名唱だったと思います。

今はどんな歌を歌っているのでしょうか。
ご無沙汰していますが、中村中さんの歌をもっと聴きたくなりました。





作詞:中村中
作曲:中村中
唄 :中村中
  


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ざんげの値打ちもない :北原ミレイ

2013年09月11日

92.「ざんげの値打ちもない」 :北原ミレイ





世に聞き流すわけにはいかない歌はたくさんあるのですけれど、
中でも、全身全霊で対峙しなければ聴くことのできない曲の一つがこれでした。

1970年10月発売といいますから、1948年生まれのミレイさんはまだ22歳の頃。
上掲のYouTubeの段階では
まだまだ表現(想像力)に深みが少なく、少したどたどしさも残る歌唱ですが、これがデビューとは思えない実力を感じます。

上村一夫氏のイラストが表紙になったこのレコードが欲しい。
上村氏にはこの曲をモティーフに作画された漫画「ざんげの値打ちもないけれど」があるそうです。
少年マガジンでのコラボでもわかるように、阿久さんの着想と上村さんの絵の相性は素晴らしく合うのですが、
そこに加えてミレイさんというトリオは、
歌謡界に希有のマッチングだったのでないでしょうか。


次に別テイクで聴いてみましょう。
何歳の頃の録音かはわかりませんが(誰か教えてください)、
鼻にかかる歌声がより強調されて、
明らかに表現に深みが増し、
少し突き放したような歌唱がむしろ、
わたしたちを歌の主人公の心情に寄り添わせてくれます。





おまけにライブ映像を。
音と映像が少しズレているようですが、
あの頃を思い出すことができます。
声からの印象とは少し違う綺麗な人だなと思いながら、私はTVを見ていました。





ここで山崎ハコさんのカバーで聴き比べてみましょうか。
ご承知のようにハコさんは凄みのある歌い手として指折りの存在ですが、
そしてもちろん、アレンジ、歌の解釈や年齢も違うのですが、
ミレイさんの歌唱と比べると、フォーク畑の出身のせいでしょうか、
むしろカミソリのような切れ味に感じます。
その点、
ライブにおけるミレイさんの唄の凄みは地の底にめりこんでいくようです。






阿久悠
村井邦彦
北原ミレイ

あれは二月の寒い夜  やっと十四になった頃
窓にちらちら雪が降り 部屋はひえびえ暗かった
愛というのじゃないけれど 私は抱かれてみたかった

あれは五月の雨の夜 今日で十五と云う時に
安い指輪を贈られて 花を一輪かざられて
愛と云うのじゃないけれど 私は捧げてみたかった

あれは八月暑い夜 すねて十九を越えた頃
細いナイフを光らせて にくい男を待っていた
愛と云うのじゃないけれど 私は捨てられつらかった

あれは何月 風の夜  とうに二十歳も過ぎた頃
鉄の格子の空を見て  月の姿がさみしくて
愛というのじゃないけれど  私は誰かがほしかった


そしてこうして暗い夜 年も忘れた今日のこと
街にゆらゆら灯りつき みんな祈りをするときに
ざんげの値打ちもないけれど 私は話してみたかった
 



大きな文字にした4番は幻の歌詞です。
北杜の窓さんのブログで教えていただきました。
録音が無いことがとても惜しまれる部分です。
でも私には、
ミレイさんがこの幻の四番を歌っている所が聴こえるようです。



  


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涙そうそう:夏川りみ

2013年09月05日

91.「涙そうそう」:夏川りみ


夕暮れに見上げる空 
心いっぱいあなた探す

ゆまんぎぬすらみあぎてぃ 
ちむふくらまち うんじゅとぅめゆん






  伊江島ニャティヤ洞窟


三番目のyoutubeの2分40秒前後に伊江島が映ります。

わたし、この歌を聴いても、歌詞の「あなた(うんじゅ)」のイメージがどうしても定まらなかったのですが、
昨年末伊江島を初めて訪問した後は、
私が思い描く「「あなた(うんじゅ)」はどんな人でなぜ亡くなったのか、
その設定が、明確になりました。






  伊江島ニャティヤ洞窟より





ヤマトグチ歌詞


↓ウチナー口混じり



↓BEGINのウチナー口バージョンも素晴らしいですよ(歌詞付き)



作詞:森山良子
  :新城俊昭
作曲:BEGIN
唄 :夏川りみ







  


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たそがれの御堂筋:坂本スミ子

2013年09月04日

  

フリー素材



90.「たそがれの御堂筋」:坂本スミ子


送りましょうか
送られましょか
せめて難波の駅までも



とても他愛無い、ご当地ソングの歌詞です。

『楢山節考』の名演技でおなじみ、
女優でありラテン歌手でもあった坂本スミ子さん。
その彼女が歌うこの歌謡曲を聴くと、
夜の御堂筋の雨の匂いと、
そこはかとない切なさが漂います。
大いなる表現力だと思います。

このカップルの行く末が心配なのではなく、
このカップルの過去にあったであろう出来事が押し寄せてくるようです。
過去は他愛無くはない、とおスミさんは歌います。


それだけでも十分にしみ込むのに、
この曲にはおまけがついてきます。
なぜか、洋食レストランのビフカツの香りが、
私の鼻孔内に蘇ってくるのです(笑)。

人間の五感の中で嗅覚の記憶は、
もっとも忘れ難いものだと聞きます。

この歌とビフカツとが邂逅した実体験があったのかどうか、
それは判然としないのですが、
私が人生で耳にした無数の楽曲の中で、
これほど美味しく匂う歌はありませんから、
この歌を選ばないわけにはいかないのです。
私はビフカツが大好物ですから。






作詞:古川益雄
作曲:加藤ヒロシ
唄 :坂本スミ子
  


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夜が笑っている:織井茂子

2013年05月08日

89.「夜が笑っている」:織井茂子

夜がクスクス笑うから




    映画「アリス・イン・ワンダーランド」のパンフレットより


私が生まれたのは1950年5月。
その頃、流行の歌を聴く方法はレコードかラヂオしかありません。
我が家にテレビジョンがやってきたのは、1958年前後だったでしょう。
ちょうどこの「夜が笑っている」が発売された頃かなと。

織井茂子さんの代表曲「黒百合の歌」が大ヒットしたのが1953年頃。
この歌はもちろんラヂオから盛んに流れていたので、聴いていたはずです。
当時もちろん「君の名は」など知らない幼児でしたが、
彼女の歌声は体内にしみ込んでいたと思うのです。
たぶんその歌唱の迫力に圧倒されて。
しかし織井さんの顔はまだ知りません。

そしてこの「夜が笑っている」が発表された1958年、
TV番組「日真名氏飛び出す」や「月光仮面」には夢中になっていましたが、
歌番組を見た記憶がありません。
相変わらず織井さんの歌う姿はしらないまま、
この「夜が笑っている」と出会いました。
おそらくこれもラヂオで聞いたのでしょう。

8歳か9歳の子どもには刺激が強過ぎたのかもしれませんが、
懸命に歌詞の意味をつかもうと聴き入ったおぼえがあります。
当時の私に歌の主人公の女性の心がわかるはずもありませんが、
まちがいなく、オトナとヨノナカへの奥深い暗がりを感じ取りました。

「黒百合の歌」のアイヌ娘の激しい情熱、
「夜が笑っている」の少々蓮っ葉に張り続ける強い意地、

私が惚れた二つの曲の歌手の歌い姿をTVで見たのは、その数年後だったでしょうか。
ほお骨の張った、目力の強い、モダンな容姿で歌う本格派の方でした。
なるほど、こういう人だったのか、と何だか感心したものでした。
でも、「夜が笑っている」の主人公に幾分、水商売の匂いを感じていた私は、
この人はそういう仕事にはつかないだろうな、と意外に思いました。

この曲における星野哲郎さんの歌詞は鮮烈でした。
虜になったオトナはたくさんいたに違いありません。






作詞:星野哲郎
作曲:船村徹
唄 :織井茂子


夜がゲラゲラ わらうから
口惜し涙が こぼれるだけさ




巻末のおまけです、「黒百合の歌」




http://www.youtube.com/watch?v=Qzjf-1nJJUo&feature=share&list=PLA33BA753C63A17C9  


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喜びも悲しみも幾歳月:若山彰

2013年03月28日

88.「喜びも悲しみも幾歳月」:若山彰  1956年



    与那国島東崎(あがりざき)灯台


木下恵介さん監督のこの映画は見ていないのです。
ですから、おそらくわたしがこの曲に感じる情緒は的外れなのでしょう。

しかし私はこの歌に、
日本人の、いや人間の働く姿の原点を見るのです。

妻と二人で守る灯台〜
誰に感謝されることもなく、ただ黙々と役に立つ〜
そんな生き方はわたしにはできないから、
それゆえそれは憧れでした。


あの灯りを灯すのは誰だか知らないが、
あの灯りが無くては俺たちは滅びる。



その想いを信じるだけで生きて行けそうだと夢想する瞬間の自分が好きです。






作詞:木下忠司
作詞:木下忠司
唄 :若山彰

俺ら岬の 灯台守は
妻と二人で 沖行く船の
無事を祈って 灯をかざす
灯をかざす

冬が来たぞと 海鳥啼けば
北は雪国 吹雪の夜の
沖に霧笛が 呼びかける
呼びかける

離れ小島に 南の風が
吹けば春来る 鼻の香便り
遠い故里 思い出す
思い出す

星を数えて 波の音きいて
共に過ごした 幾歳月の
よろこび悲しみ 目に浮かぶ
目に浮かぶ





  


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モンローウォーク:南佳孝

2013年03月26日

87.「モンローウォーク」:南佳孝



            wikiより


人生で一度ぐらい、
浜辺でナンパしてみたかったなと、
ガラでもない夢想にふけってみたくなっていた、
唯一の曲です、はい。






作詞:来生えつこ
作曲:南佳孝
唄 :南佳孝


つま先立てて海へ モンロー・ウォークして行く
いかした娘は誰 ジャマイカあたりのステップで
目で追う男たちを 無視して腰をひねり
ブロンズ色の肌 光受けなまめく

昼下がりの ざわめく浜辺
噂のうず 巻き込む潮風

胸元の汗キラリ 眼のやり場にも困る
口説きおとしたいのに スキもないね君は

束ねた髪にカトレア 小粋に飾ってニッコリ
背中のあいたドレス グラスを片手にスイング
夜風が甘い窓辺 人波わけてフラリ
もたれて酔いざまし しどけないポーズ

誰もが皆 視線あびせる
腰にあてた 手つきが悩ましい

さりげなく摺り足で 君のとなりへ進み
名前を聞きだしても 気を持たせてウインク
ないしょでとウインク


  


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出世街道:畠山みどり

2013年03月08日

86.「出世街道」:畠山みどり


「どうせこの世は一ぽんどっこ」



            独鈷:「夢隊WEB」のホームページから借用



この曲で、作詞家の星野さんは、上昇志向を抱く男性への応援としての歌を表現した。
タイトルの「出世街道」や「男のぞみをつらぬく時にゃ」などの言葉からそれは明らか。

1962年にこの歌が発表されてヒットしたとき、
正直そのあたりの意図はピンとこず、
いやむしろ好きではなく。

確かにその後の人生も、出世を拒んで生きてしまうことになる。
名誉を望んでいるもう一人の自分が嫌いだったから。

ところが小学生六年〜中学生にかけて私は、
気がつけばよくこの曲の一節だけを口ずさんでいた。

その部分は、1、3番がまぜこぜで


「他人(ひと)に好かれていい子になって
 落ちていくときゃ独りじゃないか
 おれの墓場はおいらがさがす
 どうせこの世は一ぽんどっこ」



頑固なくせに
アイデンティティがうまく確立できず、
あれも正しい、これももっともだ、と揺れ動いていた小学生の自分。
自分の芯を作れ造れ創れと自分で言い聞かせていたのだと思う。
他人の機嫌や都合に惑わされるなと叱咤していたのだと思う。



Youtube映像はこちらから
http://youtu.be/3eb7PXm4WBA

作詞:星野哲郎
作曲:市川昭介
唄 :畠山みどり




      一本独鈷柄の帯:「京きもの いぐち」のホームページより借用  


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川は流れる:仲宗根美樹

2013年02月10日

84.「川は流れる」:仲宗根美樹   

1961(昭和36年)から翌年にかけてヒット




    大阪市生野区を貫く平野川


人の世の 塵にまみれて
なお生きる 水をみつめて
嘆くまい 明日は明かるく



そう、今日の歌の調子は沈んでいても、
明日は明るい日になればいいね。

仲宗根美樹さんが沖縄出身だなどという知識はまるでなかった少年時代、
彼女のシングルレコードジャケットを眺めながら、
何度も何度もこの曲を聴くために針を落としていた。

その頃住んでいたのは西宮市の仁川町。
すぐそばに仁川という川が流れていて、私の遊び場だったけど、
甲山の麓から流れるその水は澄んでいて魚が多く、
この歌の「街の谷」に流れる川と違うものだということはわかっていた。

でも私も人も、
ふと川面を見つめて時を過ごすことが多いことも知っていた。

川は鏡。

明日は明るい日になればいいね。







chiba. chan-0



作詩:横井 弘
作曲:桜田誠一
歌 :仲宗根美樹

1)病葉(わくらば)を 今日も浮かべて
  街の谷 川は流れる
  ささやかな 望み破れて
  哀しみに 染まる瞳に
  黄昏の 水のまぶしさ

2)思い出の 橋のたもとに
  錆びついた 夢のかずかず
  ある人は 心つめたく
  ある人は 好きで別れて
  吹き抜ける 風に泣いてる

3)ともし灯も 薄い谷間を
  ひとすじに 川は流れる
  人の世の 塵にまみれて
  なお生きる 水をみつめて
  嘆くまい 明日は明かるく




おまけとして、仲宗根美樹さんが歌うCMを一曲つけておきましょう。

「有馬兵衛向陽閣」
aaiuioo1000
  


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モンスター:UA

2013年02月09日






83.「モンスター」:UA

少しさかのぼって説明が必要です。
UAさんには「悲しみジョニー」という佳曲がありました。

ニコニコ動画にログインできる方は、このすぐれたPVをご覧下さい。




ねえ冗談でしょジョニー

悲しみ深く海より深く
心にトゲを埋めても
ふしだらな幸せは全部あげる

作詞:UA
作曲:朝本浩文
唄 :UA



この曲は「甘い運命」よりもさらに激しく印象に残りました。
ちょうど椎名林檎さんの「歌舞伎町の女王」のように、
いいのか?
そんなにキッツイ歌を唄っていいのか?
この歌手、これで終わるんじゃないのか?
などと心配してしまった、1997年、UA8枚目のシングル。
そういう意味で私に突き刺さったから、
このブログへの選曲もこれしかないかと思っていました。
これは必ずしも褒め言葉ではありません。

積極的に民謡やジャズ等多くのジャンルに学ぶ姿勢を見せた彼女は、
たとえば奄美出身の朝崎郁恵さんという飛び抜けた存在感の唄者と共演し、
朝崎さんのアルバム「うたばうたゆん」の中の一曲、
「徳之島節」で間の手を入れているのですが、
もうこてんぱんに負けてしまっています。(謝)
それが2002年。

UAさんのお母様の故郷は奄美と聞きましたが、
彼女自身の人生の根がどこにもおりていないことを痛感したでしょうし、
それゆえこその歌の遍歴だったのでしょう。

「アントニオの唄」でうかがえるように、たぐいまれなPOPS的歌唱力を備えた彼女が、
この先どうなっていくのか心配したものでしたが、
さまざまな人生の出来事に遭遇したせいか、
音楽遍歴努力のせいか、
あるいは、いま住んでいる沖縄やんばるの空気と人のおかげか、
最近その表現力に格段の深化が見られたように感じています。

最新アルバム「KABA」を買いました。
タイトル通り(笑)カバー曲の集成なのですが、
「モンスター」、「わたしの赤ちゃん」、「Love Theme From Spartacus」などなどの歌唱は、鳥肌もののレベルに達したように思います。

消えて欲しくなかった歌い手の一人UAさんの新しい地平到達を祝して、
ブログルールからみると少々変則的ですが、
時代を駆け抜けたあのデュオへの敬意も込めて、
ここでは「モンスター」を選んでおこうと思います。

下の動画は2010年のコンサートですが、
アルバムの水準の一端を感じていただけるのではないかと思います。
アップされたicelemoncafeさんに感謝。





もうおまえはやさし過ぎて
ぼろぼろなのね



「モンスター」
作詞:阿久悠
作曲:都倉俊一
唄 :ピンクレディー、UA



もちろん、本家の動画も掲載しておきます。
ブログの趣旨には合いませんが、ピンクレディさんの躍動は忘れることができません。
こちらはJeffB1959·さん、ありがとうございます。

  


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あなたのブルース:矢吹健

2013年01月28日





82.「あなたのブルース」:矢吹健  1968 


逃げてゆく幻


この歌に魅入られた人は
きっと何百回となく歌ったことだろう
そして何百回となくうとましがられたのだろう


恋いこがれる対象は男女に限らない、
呼吸をするのも苦しいような憧憬を抱いた経験があったなら、
この唄の価値はわかるはず。

ま、あまり
ひとさまの前で披露する歌、披瀝する心ではないが。(笑)





作詞:藤本卓也
作曲:藤本卓也
唄 :矢吹健


  


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教訓Ⅰ:加川良

2013年01月27日

命のスペアはありませんヨ




    沖縄県伊江村「命どぅ宝の家」所蔵品より



81.「教訓Ⅰ」:加川良  1971

天災になすすべもなく、
肉食猛獣に狩られる立場だった人類のその昔、
ヒトの死生は自然の一部として在った。

と言われればそんな気もしますけれど、
それでもイキモノの本能は、
生き延びる道を懸命に模索していたはず。
なすすべもなく、強い力に蹂躙されるままであったはずはありません。


ヒトに知恵がつき、道具を使い、労働し、
集団という安全で他力本願な魔力に我が身を投じてしまった後は、
自らが作り出した不可視な強い力を「新しい自然」だと勘違いし、
ときに蹂躙を受け容れてしまうようになりました。

最後まで諦めない闘う力を取り戻しませんか。
あなたを殺す強い力が怒濤のように押し寄せ、
あなたの子供たちが生け贄にされないように。









作詞:加川良
作曲:加川良
唄 :加川良


青くなって しりごみなさい
にげなさい かくれなさい

死んで神様と 言われるよりも
生きてバカだと いわれましょうヨネ





    沖縄県伊江村「ヌチドゥタカラの家」
  
タグ :加川良


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セーラー服と機関銃:薬師丸ひろ子

2013年01月18日

80.「セーラー服と機関銃」:薬師丸ひろ子






重い荷物を
君は軽々と
きっと持ち上げて
笑顔見せるだろう


作詞:来生えつこ
作曲:来生たかお



周知の通り、1981年に薬師丸ひろ子主演で公開された映画の主題歌なのですが。
当時の私にとっては無色透明な歌に過ぎませんでした。

ただ、彼女の透明な声がいつもどこかで流れていました。
それはもう、繰り返し繰り返し、街角で聞いていたはずです。

無色透明だったはずのこの歌が、
いつの間にか細胞膜を突破していたようですが、
その時はまだ気付きませんでした。

21世紀に入り(おおげさ)、
ituneなるもので来生たかおさんの歌唱になるこの曲(「夢の途中」)を購入して聴いたところ、
しみ込んでいた薬師丸さんの歌に一挙に表情が生まれました。
私のなかで生き生きと蘇生したわけです。
不思議な体験でした。

最近はまた、UAさんの歌うこの曲(「セーラ−服と機関銃」)と出会いました。
ミステリアスな演奏をバックに歌うUAさんの当代随一のポップアップパワーで、
新しい表情を得て再度よみがえりました。
幸せな曲です。


年上目線からではありますが、
女性への、敬意に充ちた応援の歌とうけとめています。




薬師丸ひろ子さんの



来生たかお「夢の途中」




UA「セーラー服と機関銃」











夢のいた場所に
未練残しても
心寒いだけさ


うん、そういう場合もあるわな。

  


Posted by gadogadojp at 13:40Comments(0)

ふたりぼっち:こまどり姉妹

2013年01月14日






79.「ふたりぼっち」:こまどり姉妹


一度でいいから
夕焼色の
着物がきたいな
祭の夜は

なんでおなかがすくのかな
なんで淋しい夜が来る
聞いてみましょう 母さんの
優しい目に似た あの星に







作詞:遠藤実
作曲:遠藤実
唄 :こまどり姉妹



「夕焼け色」ってどんな色?

〜子供の頃から、
もう何回自問自答したことでしょうか。
フロックコートを着て、
少しばかりふくらんだ財布を持つ老人の私が、
小さな双子の女の子に、
着物を買ってあげる夢想を完結するために…


もうこんな時代は見たくない。









だめ押しに聞き比べてみますか?


  


Posted by gadogadojp at 20:40Comments(0)

桃色吐息:高橋真梨子

2013年01月14日






78.「桃色吐息」:高橋真梨子


女たちはそっとジュモンをかける


高橋真梨子さんの歌の色香はただごとではありません。
ところがその歌唱はあくまで<森(しん)とした>、
あるいは、<凛(りん)とした>風情を崩さないのです。

たとえば「for you…」では切々と『あなた』への愛を歌い上げ、
とらえて放さない熱意で迫るのですが、
その歌唱には一切の媚(こび)が感じられず、
自らの決意を決然と語っているかのようです。

ジェンダーの自己決定権を軽々ととびこえた地平から、
言葉の真の意味でのフェミニズムの彼岸から、
彼女は真摯に生真面目に一語一語に思いを込めて愛を歌うのです。
歌の主人公のためのジュモンを愛に乗せて。


さびしいものは あなたの言葉


「桃色吐息」においても、
過剰なヤラセのセクシーさは一切採用されません。

「こぼれる華」のわたしの「きれい」が、
まもなく終わることにも吐息をついている<女>を表現しています。

そこには「あなた」は存在しません。
その「あなた」は、そんなことないよ、おまえはきっと何歳になってもきれいだよ、と、
もう百万回もささやいたかもしれないのに。

「あなたの言葉」を「異国のひびき」としか聞こえなくしているのは、
「あなた」のせいではないのです、きっと。

そんな森とした凛とした心象の歌です。
それ以上でもそれ以下でもありません。
それなのに、
どうしてこの歌はこんなに美しいのでしょう。







お薦め映像はまずこちら↓
http://youtu.be/z4ggDBGLRbY

あるいはこちら↓




作詞:康珍化
作曲:佐藤隆
唄 :高橋真梨子



「まばたけばひとときにざくろ破(は)ち切れて
 銀器のまえ熟れてゆく少女ら」

   康珍化(カン・チンファ) 


Adriana Leonardiさんのブログより引用させていただきました  


Posted by gadogadojp at 00:00Comments(0)